布団に入ってからもなかなか眠れない夜が、もう何年も続いている。明日が早いとわかっているのに、頭の奥がなぜか冴えていて、目を閉じても眠気が降りてこない。
「カフェインのせいかもしれない」と思い始めたのは、不眠と本気で向き合おうと決めた頃でした。日中はほぼ毎日飲んでいたコーヒー。仕事の合間に、打ち合わせのお供に、午後の眠気覚ましに。完全に習慣化していた。
これを書いている私は、30代の会社員です。眠れない夜が続いてもう10年になります。仕事のプレッシャーも重なり、4〜5時間の短時間睡眠が当たり前になっていました。夜が眠れないからカフェインに頼る、カフェインに頼るから夜が眠れない——その循環の中にいた時期の話と、そこから少しずつ朝夜の習慣を変えていった記録を残します。
私のカフェイン歴と眠れなかった夜

カフェインの量を意識するようになったのは、ここ数年の話です。
朝、出社して一杯。午前の打ち合わせに一杯。昼食後に一杯。午後の集中が切れたタイミングで一杯。夕方、残業に備えて。気づけば、ほぼ一日中なにかしらカフェインのある飲み物を口にしていたことになります。
正直、自分では「眠気覚まし」のつもりでした。仕事中に頭が回らない時間があって、それを乗り切るためにコーヒーを飲む。眠気が引いてまた仕事に戻る。日中の自分にとっては、これは合理的な行動だと思っていました。
ところが夜になっても、頭の奥がぼんやりと冴えている感覚が抜けない。布団に入って目を閉じても、明日のことが回り始める。寝つくのに1時間以上かかる夜が当たり前で、寝つけたとしても眠りが浅く、夜中に何度も目が覚めました。
「日中の眠気覚まし」と「夜の眠れなさ」は、頭の中で別々の問題として扱っていたのだと思います。両者を結びつけて考えるようになったのは、誰かに指摘されたからではなく、ある夜、ふと「自分は今日、何杯飲んだだろう」と数えてみたのがきっかけでした。
その夜、片手では足りない数を数え終えたとき、「これでは眠れるはずがないのでは」と自覚できました。
カフェインが睡眠に影響すると言われる仕組み
ここで、私自身が調べてみた範囲のことを整理しておきます。カフェインと睡眠の関係について一般的に語られていることを知るだけでも、自分の生活を見直す手がかりにはなりました。

カフェインは「眠気のスイッチ」を覆い隠すと言われる
カフェインには、その眠気のスイッチに「ふた」をかけるような働きがあるといわれることがあります。眠気そのものを消しているのではなく、感じにくくしているだけ——という言い方です。
カフェインで眠気を覆い隠している間、本来なら蓄積されるはずの「眠る準備」がうまく整わない。夜になってもスムーズに眠気が降りてこない、という状況が起きやすくなる、という話です。
体に残る時間は思ったより長い
もう一つよく語られるのが、カフェインが体内に残る時間です。
人によって個人差はあるとされていますが、飲んでから半分が体内に残っているのが数時間後、という説明を見かけることが多いです。午後2時に飲んだコーヒーのカフェインの一部が、夜の8時、9時にもまだ体に残っている可能性がある——という計算になります。
私が試した「カフェイン断ち」3段階
ここから先は、私が実際にやってみたことの記録です。今も完璧に続いているわけではありませんが、何もしていなかった頃と比べれば、夜の頭の冴え方は少し違う気がしています。

ステップ①:午後1時以降のコーヒーをやめる
最初にやったのは、シンプルに午後1時以降はコーヒーを飲まないというルールでした。完全なカフェイン断ちではなく、夜に残らないラインで線を引く、という発想です。
最初の1週間はきつかったです。午後3時、4時の眠気の壁を、コーヒーなしで越える方法を体が知らない。日中の集中力が落ち、いったん挫折しかけたほどです。
ただ、4〜5日続けたあたりから、夜の頭の覚醒状態がわずかに薄くなっていた気がしました。
ステップ②:午後の代わりの飲み物を決めておく
ルールを作っても、午後の眠気は実在します。それをどう乗り切るか、代替手段を先に決めておくことが大事だと感じました。
私は、物理的な口内の刺激を求め、炭酸水にしました。「コーヒーを我慢する」のではなく、「コーヒーの代わりにこれを飲む」と最初から決めておくほうが続きやすかったです。
我慢は意志の力を使うので、続きません。代替が決まっていれば、ほとんど無意識でそちらに手が伸びます。
ステップ③:午前のコーヒーは残す
最後に決めたのは、「午前のコーヒーはやめない」ということでした。
カフェイン断ちというと、ゼロにするイメージがあるかもしれません。でも私の場合、午前のコーヒーは気持ちの切り替えに大きな役割を持っていました。それを取り上げると、午前が辛くなりすぎて続かない。
夜に響かない範囲で、自分にとって必要なカフェインは残す——というのが、私が1ヶ月続けて辿り着いた現実的な落とし所です。1日の総量は、以前の半分以下になっていると思います。
朝の習慣:すっきり起きるために変えたこと
カフェインを見直すと同時に、朝の過ごし方も少し変えました。30代になって、若い頃のように休日の寝だめで乗り切ることもできなくなって、朝にすっきり起きるための習慣を、自分なりに整えていく必要があると感じたからです。

カーテンを開けしっかり太陽の光を浴びる
当たり前すぎるかもしれませんが、意識して続けています。
朝の光が体内時計の調整に関わる、という話は一般的に語られています。体内のオン・オフを切り替えるスイッチとして機能しています。
天気の悪い日は当然効果を感じにくいです。それでも、「朝の光を浴びる時間を意識する」という行為そのものが、朝の自分への姿勢を少し変えてくれました。
朝食前にコップ一杯の水
寝ている間に体の水分はかなり失われている、という話もよく言われます。私は、朝起きてすぐにコップ一杯の水を飲むようにしました。
これも特別なことではありません。冷たすぎない水を、ゆっくりと一杯。
水を飲むと、その後の朝のコーヒーが「眠気覚まし」ではなく「気持ちの切り替え」として機能するようになった気がしました。順序を一つ変えるだけで、自分の朝の組み立てが少し変わったのは意外でした。
夜の習慣:スマホをやめられない私がやったこと
夜の習慣で、私が一番苦労したのはスマホとの付き合い方でした。情報収集も娯楽もスマホ。
「寝る前にスマホを置く」と決めるだけでは、3日と続きませんでした。
意志の力で禁止するのは無理だと早い段階で諦めて、別のアプローチを試しました。
寝室の充電器を、リビングに移す
これは小さな変更ですが、効果が大きかった工夫です。
寝る前に「リビングまでスマホを置きにいく」一歩が必要になる。たった数歩の距離ですが、「もう寝る時間だから置きに行こう」という小さな儀式になりました。
寝室にスマホがあると、布団に入ってからも手が伸びます。リビングにあれば、わざわざ取りに行く必要があるので、自然と諦めがつきやすい。
アイピローの実践
スマホを置いたあと、もう一つ取り入れたのがアイピローです。
目の上に乗せて使う小さなクッション状のもので、目元への適度な圧をやわらげ、疲れ目の緩和を目的として使われることが多いです。
私が使っているのは、電子レンジで温められるタイプです。温めると蒸しタオルのような感覚で目元が包まれて、一日中パソコンに向かった後の目の奥の重さが、少し和らいでいく気がします。冷蔵庫で冷やして使うこともできるので、気分によって「今夜は温かいか、冷たいか」を選んでいます。熱感のある夜は冷やした方が気持ちいいことがあって、この小さな選択自体が、就寝前の切り替えのルーティンになっています。
一点だけ気になったのは体勢のことです。アイピローを目の上に乗せると、しばらく仰向けのまま過ごすことになります。気づくと肩や背中が少し緊張してしまうことがありました。
ただ、その後横向きに寝返りを打ってアイピローを外しても、意外とスムーズに入眠できます。仰向けで目元を休めてから横に転がる、という流れが今のルーティンになっています。
1ヶ月続けた今、私の睡眠はどう変わったか

正直に書きます。劇的に変わったわけではありません。
朝夜の習慣を見直して1ヶ月続けた今も、私は4〜5時間睡眠が中心です。眠れない夜は今もあります。布団の中で頭が回り続ける夜は、月に何度もあります。
ただ、いくつか自分の体感として変わったことはあります。
- 布団に入ってから、頭の奥が冴えている感覚が以前より薄い気がする
- 夜中に目が覚めても、再度眠りに戻れることが少し増えた気がする
- 朝起きたときの「鉛のような重さ」が、以前より軽い気がする
すべて「気がする」の世界ですが、自分の生活への手応えが少し違う——という感覚は、確かにあります。
習慣だけでは限界を感じる夜のために
ここまで、私が変えてきた朝夜の習慣を書きました。最後に、もう一つだけ書いておきたいことがあります。
習慣を見直しても、それだけでは越えられない夜がある——というのが、私の正直な感想です。
習慣だけでは越えられない夜もある。2026年3月にオンライン診療を受け、薬を処方してもらいました。「いざという夜に薬がある」という感覚が布団の中の焦りを和らげてくれましたが、薬に頼り切るのも違うと感じ、もう一つの選択肢として睡眠サプリも並行して試しています。
「飲めば夜が変わる」と断定はできません(医薬品ではないので)。それでも、朝夜の習慣の延長線上に置けるもう一つの選択肢として、私には合っていたようでした。具体的に何を選んだか、なぜそれを選んだか、1ヶ月試してどう感じたかは、別の記事にまとめています。
👉 睡眠薬に頼りたくない人へ【私が睡眠サプリを選んだ理由と体験】
自分の眠れない夜が入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒のどれに近いかによって、習慣の選び方も変わります。タイプ別に整理した記事もあります。
👉 不眠のタイプ別対策まとめ【入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害】
朝夜の習慣を変えるのは、地味で、すぐには手応えが出ない作業です。それでも、「今夜の自分にできることが、少しだけ増えた」という感覚は、不眠と長く付き合っていく上で、思っていた以上に支えになります。私が続けてきたことの中に、あなたの夜が少し過ごしやすくなるヒントがあれば、と願っています。
自分の「眠れなさ」のタイプを知る
カフェインや習慣の見直しは、不眠のタイプによって効きやすさが違います。入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害——4つのタイプと対処法をまとめた記事で、自分のパターンを整理してみてください。
本記事は筆者の個人的な体験・感想に基づく記録であり、医療助言を目的とするものではありません。気になる症状がある方は、医療機関にご相談ください。本記事で紹介する商品の効果には個人差があります。
