本記事を書いているのは、30代のサラリーマンです。10年以上、4〜5時間睡眠が続いていた中で、ある日曜の夜に一睡もできなかったことをきっかけに、オンライン診療で7日分の処方薬を出してもらいました。
本記事は、初めて飲んだ夜の率直な感想と、その後どう関係性が変わっていったか——その記録です。同じように、処方された薬を前にしてためらっている方の参考になれば幸いです。
処方された薬を、すぐには飲めなかった話

オンライン診療を受け、薬を薬局で手にしました。封を開けて手に取った瞬間の感想は、別の記事にも書きましたが、「ホッとした」が一番近い感覚でした。
ただ、その日の夜、すぐには飲めませんでした。
理由は単純で、飲んでしまった瞬間に、自分の中で何かの一線を越える気がしていたからです。自分の力だけで眠れない夜を凌いできた(凌げていなかったとしても)という事実が、その日でリセットされてしまうように感じていました。
結局その夜は、薬を引き出しに入れたまま、いつも通りの眠れない夜を過ごしました。それでも、引き出しに薬があるという事実だけで、布団の中の焦りは確かに弱くなっていました。「いざとなれば飲める」と思えるだけで、夜の重さがこんなに違うのか——というのが、その夜の発見でした。
飲む前の不安
私が薬を飲む前に抱えていた不安は、整理すると3つありました。

①依存への恐れ
「これを飲んで寝つけたら、もう薬なしでは眠れなくなるのではないか」という不安です。これが一番大きかったです。10年眠れない自分を、もう一段下に固定してしまうイメージです。
オンライン診察の事前の要望で、副作用の少ない薬について事前に相談していたため、処方された薬は信じていました。それでも自分の中で踏ん切りがつかない。「依存」という言葉そのものが、自分の自尊心に刺さる——という感覚でした。
②翌日のパフォーマンスへの影響
処方された薬は、副作用として「翌日に倦怠感が残る」と説明されていました。私の仕事は判断を求められる場面が多く、翌日の自分が普段通り動けないと、それはそれで困る。
不眠で頭が回らないか、副作用で頭がもうろうとするか。どちらにしてもリスクがある中で、どちらの曖昧さを引き受けるか——という選択でした。
③自分のキャリアへの影響
これは別の記事でも書いた、根の深い不安です。心療内科を避けてきた理由と同じで、「薬を飲み始めた自分」を自分で受け入れられるか分からなかった。
オンライン診療を受けた時点でその一線は実質越えているのですが、「処方されただけの自分」と「実際に飲んだ自分」の間には、自分の中でもう一段の段差があったように思います。
あなたの「眠れなさ」は、どのタイプ?
不眠は4タイプ(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害)に整理されることが多いとされています。まずは自分の傾向を把握するところから。
初めて飲んだ夜のこと
実際に初めて飲んだのは、薬を受け取ってから数日経った夜でした。仕事で大きな会議が翌日にあり、「今夜寝つけなかったら明日は致命的」と感じた日です。
具体的な身体感覚については、書き手としては言葉にしづらい部分があります。「すとんと意識が落ちた」というドラマチックな話ではなく、「いつもよりは布団の中の焦りが少なかった気がする」程度——というのが正直なところです。
翌朝の感覚は、自分でもよく覚えていません。「劇的に違う朝」ではなかったし、かといって「全然変わらない朝」でもなかった。変化があるとすれば、夜から朝にかけての時間が、心理的に少し短く感じた——そのくらいの違いだったと記憶しています。
ただ一つ、はっきり言えるのは、「飲んだ自分が、自分でなくなったわけではない」と分かったことです。飲む前は「飲んだら別人になるのではないか」と漠然と恐れていましたが、実際には朝起きて、いつも通り会議に出て、いつも通り仕事をしました。
「踏み出してしまえば、思っていたより普通だった」——というのが、初めての夜の最大の収穫でした。
「心の保険」という考え方にたどり着いた経緯

初めての夜の後も、私が処方薬を飲んだのはごく数回だけです。7日分処方された薬は、ほとんど引き出しの中に残ったままです。
「ほとんど飲まないなら、なぜ処方してもらったのか」と思われるかもしれません。私自身、最初はそう思っていました。
でも飲まない夜が続いていく中で、「飲まないのに、薬があるだけで夜の感覚が違う」ことに気づきました。
布団に入る前、引き出しを軽く開けて薬の存在を確認する——という小さな儀式のようなものを、私は無意識にやるようになっていました。確認するだけで、布団の中の「今夜寝つけなかったらどうしよう」というプレッシャーが、はっきりと弱まる。
これは、保険と同じ構造だと思いました。保険は使うために加入するのではなく、使わずに済めばそれが一番いい。万一のときに備えがあるという事実が、日常の心の余白を作る。
私にとっての処方薬は、まさにそういう存在になっていきました。「飲むためのもの」ではなく、「持っているだけで夜が違うもの」。これを私は自分の中で「心の保険」と呼んでいます。
「飲まないのに処方を続ける意味があるのか」という問いには、私は今のところ「ある」と答えています。飲まずに済む夜が増えること自体が、私にとっての成果だからです。
処方薬とサプリ・瞑想・生活習慣を並行して試している今
処方薬を「心の保険」として位置付けた後、私は他の選択肢も並行して試すようになりました。
主に試しているのは以下です。
- 生活習慣の見直し:スマホを寝室に持ち込まない、夕食の時間を一定にする、寝る前は部屋の明度を下げる
- 呼吸法・短い瞑想:布団に入る前の5分程度。完璧な瞑想ではなく、呼吸に意識を向けるだけ
- 睡眠サプリ:処方薬とは別の選択肢として、夜の習慣の一部に置いている

それぞれ、単体で「夜が変わった」とは断定できません。一つ一つの感覚は曖昧で、「今夜は寝つきが少しラクだった気がする」程度の変化です。
ただ、複数のものを並行で試しているという事実そのものが、夜の不安を弱めている——と感じるようになりました。「眠れないことに対して打つ手を持っている自分」が、夜の自分を支えてくれている、という感覚です。
具体的にどんなサプリを選んだか、選んだ理由、何を試してどう感じたかについては、別の記事にまとめる予定です。
処方薬だけに頼らない選択をした理由
なぜ処方薬を主軸にせず、生活側の工夫を主軸にしているのか。私の中の整理として、理由は3つあります。

①薬がなくなった夜が怖いから
処方薬を毎晩飲む前提にしてしまうと、薬が手元にない夜が怖くなる。出張・旅行・処方の切れ目など、薬を持てない夜は来ます。そのときに「薬がないと寝つけない自分」になっていると、夜の選択肢が狭くなる。
主軸を生活側に置いておけば、薬がない夜も、それまで積み重ねてきた習慣で凌げます。薬は最終手段の一つとして、引き出しに置いておくのが私には合っている——というのが、今の整理です。
②自分でできることを試した感覚を残したいから
これは精神論に近いのですが、「眠れない夜に対して、自分でできることがある」という感覚を、私は失いたくありませんでした。すべてを薬に委ねてしまうと、自分の手の中に何も残らない気がする。
生活リズム・呼吸法・サプリ——一つ一つは小さな手段ですが、それを「自分で選んで、自分で続けている」という事実が、私の自己肯定感を高めていると感じます。
③長く付き合うつもりだから
不眠は、おそらく私にとって短期で「終わる」ものではありません。10年抱えてきた付き合いを、これから10年・20年と続けていく中で、薬一辺倒の組み立てより、複数の選択肢を持っているほうが、長期的には楽だろうと感じています。
まとめ:同じように悩んでいる人へ
ここまで、初めて処方薬を飲んだ夜のことと、その後の関係の変化を書きました。
最後に、いくつか改めて整理しておきます。
- 処方薬は、私にとって「飲むもの」というより「持っていることで夜が違うもの」になった
- 飲む前の不安(依存・キャリア)は、私の場合、踏み出してみたら思っていたより小さかった部分が多かった
- 一方で、薬一辺倒にせず、生活側の工夫やサプリも並行して試す道を選んだ
- これはあくまで私の場合の話であり、薬を継続的に使う選択も、まったく使わない選択も、それぞれの状況に応じた答えがある
「処方薬を飲むことが怖い」という不安そのものは、否定はしません。私自身、その不安を抱えたまま薬を受け取り、しばらく飲めず、ようやく飲み、それでも飲まない夜を続けている——という、ぐらつきのある関わり方をしています。
ただ、もし今、過去の私と同じように引き出しの前で迷っている方がいるなら、「飲む・飲まない」の二択ではなく、「持っているだけで夜が違うかもしれない」という第三の関わり方もある——ということだけ、お伝えしたいと思いました。
オンライン診療を選ぶに至った経緯については、別の記事に詳しく書いています。「対面の心療内科には行きたくない」という気持ちが強い方には、こちらが先に参考になるかもしれません。
👉 オンライン診療で不眠の薬を処方してもらうまでの全記録【体験談】
「対面の心療内科は行きたくない」と思った日のこと
オンライン診療を選んだ経緯と、当日の流れの全記録は別記事にまとめています。「対面はちょっと…」と感じている方には、こちらが先に参考になるかもしれません。
薬だけに頼りたくない方へ
薬を「持っているお守り」として置きながら、習慣の延長線上に置ける別の選択肢も探しました。何を選んだか、なぜそれにしたかは別記事にまとめています。
本記事は筆者が実際に受診したオンライン診療と、医師から処方された薬に関する個人の記録です。特定の医薬品を推奨するものではなく、効果効能を保証するものでもありません。医療機関の受診や服薬については、必ず医師の判断に従ってください。
