初めて睡眠薬を飲んだ夜より、はっきり覚えているのは翌朝でした。
泥のような倦怠感が残り、午前中は眠気が続きました。
筆者は10年以上、4〜5時間睡眠が続いてきた30代の会社員です。オンライン診療で7日分の処方薬を出してもらい、受け取ってから16日間は引き出しに入れたままでした。飲んだのは、2026年8月時点で5回だけです。
飲むまでに何を迷い、飲んだ夜に何が起きて、そのあと薬とどう付き合うことにしたのか。順番に書きます。
処方された薬を、すぐには飲めなかった話

薬局で薬を受け取った瞬間の感想は、「ホッとした」が一番近い感覚でした。それでも、その夜は飲めませんでした。
理由は単純で、飲んでしまった瞬間に、自分の中で何かの一線を越える気がしていたからです。自分の力だけで眠れない夜を凌いできた(凌げていなかったとしても)という事実が、その日でリセットされてしまうように感じていました。
結局その夜は、薬を引き出しに入れたまま、いつも通りの眠れない夜を過ごしました。それでも、引き出しに薬があるという事実だけで、布団の中の焦りは確かに弱くなっていました。「いざとなれば飲める」と思えるだけで、夜の重さがこんなに違うのか——というのが、その夜の発見でした。
飲む前の不安
飲む前に抱えていた不安は、3つでした。

①依存への恐れ
「これを飲んで寝つけたら、もう薬なしでは眠れなくなるのではないか」。これが一番大きい不安でした。眠れない自分を、もう一段下に固定してしまうイメージです。
予約時のアプリ入力で副作用への不安を伝えてあり、それを踏まえた処方であることは分かっていました。それでも踏ん切りがつかない。「依存」という言葉そのものが、自尊心に刺さる——という感覚でした。
②翌日のパフォーマンスへの影響
処方された薬は、副作用として「翌日に倦怠感が残る」と説明されていました。判断を求められる仕事なので、翌日に普段どおり動けないと、それはそれで困ります。
不眠で頭が回らないか、副作用で頭がもうろうとするか。どちらにしてもリスクがある中で、どちらを引き受けるか——という選択でした。
③自分のキャリアへの影響
心療内科を避けてきた理由と同じで、「薬を飲み始めた自分」を受け入れられるか分かりませんでした。
オンライン診療を受けた時点でその一線は越えています。それでも「処方されただけの自分」と「実際に飲んだ自分」の間には、もう一段の段差がありました。
あなたの「眠れなさ」は、どのタイプ?
不眠は4タイプ(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害)に整理されることが多いとされています。まずは自分の傾向を把握するところから。
タイプ別ガイドを読む →初めて飲んだ夜のこと

初めて飲んだのは、薬を受け取ってから16日後、2026年4月2日の夜でした。翌日に大きな会議があり、「今夜寝つけなかったら明日は致命的」と考えた日です。
飲んだあと、布団の中で脚に倦怠感が出ました。だるさが脚に残ったまま横になっていた、という感覚です。寝つくまでの時間は覚えていません。30分以上はかかっていたはずです。
夜中に目が覚めた記憶はありません。悪夢も見ませんでした。
はっきり残っているのは、翌朝です。泥のような倦怠感がありました。午前中は眠気が続くような感覚でした。薬局で薬剤師から説明されていた副作用が、そのとおりの形で出ました。
「すとんと意識が落ちた」という夜ではありませんでした。寝つきの手応えより、翌朝の代償のほうがはっきりしていた。
この夜に分かったのは、薬は「眠れない夜をなかったことにするもの」ではないということでした。毎晩飲む使い方を筆者が選ばなかったのは、これが理由です。
「心の保険」という考え方にたどり着いた経緯

初めての夜のあと、飲んだ回数は増えていません。2026年8月時点で5回。7日分のうち残りは、いまも引き出しの中にあります。
飲まない夜が続くうちに、薬があるだけで夜の感覚が違うことに気づきました。
布団に入る前、もし眠れなくても薬を飲めば良い、と考えるだけで「今夜寝つけなかったらどうしよう」というプレッシャーが、はっきりと弱まりました。
これは、保険と同じ構造だと思いました。保険は使うために加入するのではなく、使わずに済めばそれが一番いい。万一のときに備えがあるという事実が、日常の心の余白を作る。
筆者にとっての処方薬は、そういう存在になっていきました。「飲むためのもの」ではなく、「持っているだけで夜が違うもの」。これを筆者は自分の中で「心の保険」と呼んでいます。
飲まずに済む夜が増えること自体が、筆者にとっての成果です。
薬と並行して試した3つのこと
処方薬を「心の保険」として位置づけたあと、他の選択肢も並行して試してきました。
- 生活習慣の見直し:スマホを寝室に持ち込まない、寝る前は部屋の明度を下げる
- 呼吸法・短い瞑想:布団に入る前の5分程度。完璧な瞑想ではなく、呼吸に意識を向ける
- 睡眠サポートサプリ:処方薬とは別の選択肢として、夜の習慣の一部に置いてきた

どれも単体で「寝つきが変わった」とは言えません。一つ一つは「今夜は寝つきが少しラクだった気がする」程度です。それでも、複数の手段を並行して試しているという事実が、夜の不安を弱めました。眠れないことに対して打つ手を持っている、という感覚です。
具体的にどんなサプリを選んだか、選んだ理由、1ヶ月試してどう感じたかは、北の大地の夢しずく 体験レビューにまとめています。
処方薬を中心にしなかった理由
なぜ処方薬を中心にせず、生活側の工夫を主軸にしているのか。理由は3つあります。

①薬がなくなった夜が不安だから
処方薬を毎晩飲む前提にしてしまうと、薬が手元にない夜が不安になる。出張・旅行・処方の切れ目など、薬を持てない夜は来ます。そのときに「薬がないと寝つけない自分」になっていると、夜の選択肢が狭くなる。
主軸を生活側に置いておけば、薬がない夜も、それまで積み重ねてきた習慣で凌げます。薬は最終手段の一つとして、引き出しに置いておくのが筆者には合っています。
②自分でできることを試した感覚を残したいから
「眠れない夜に対して、自分でできることがある」という感覚を失いたくありませんでした。すべてを薬に委ねると、自分の手の中に何も残りません。
生活リズム・呼吸法・サプリ。一つ一つは小さな手段ですが、自分で選んで続けているという事実が、夜の自分を支えています。
③長く付き合うつもりだから
不眠は、短期で「終わる」ものではないと考えています。これから先も続けていくなら、薬一辺倒より複数の選択肢を持っているほうが、長い目で見て楽なはずです。
まとめ:同じように悩んでいる人へ
- 処方薬は「飲むもの」というより「持っていることで夜が違うもの」になった
- 飲む前の漠然とした不安は、飲んでみると翌朝の倦怠感という具体的な問題に変わった
- だから薬一辺倒にせず、生活側の工夫やサプリを並行して試す道を選んだ
- 筆者の場合の記録であり、薬を継続的に使う選択も、まったく使わない選択も、それぞれの状況に応じた答えがあります
「処方薬を飲むことが怖い」という不安を否定はしません。筆者自身、その不安を抱えたまま薬を受け取り、16日間飲めず、ようやく飲み、それでも飲まない夜を続けています。
ただ、もし今、過去の筆者と同じように引き出しの前で迷っている方がいるなら、「飲む・飲まない」の二択ではなく、「持っているだけで夜が違うかもしれない」という第三の関わり方もある——ということだけ、お伝えしたいと思いました。
オンライン診療を選ぶに至った経緯については、別の記事に詳しく書いています。「対面の心療内科には行きたくない」という気持ちが強い方には、こちらが先に参考になるかもしれません。
👉 オンライン診療で不眠の薬を処方してもらうまでの全記録【体験談】
「対面の心療内科は行きたくない」と思った日のこと
オンライン診療を選んだ経緯と、当日の流れの全記録は別記事にまとめています。「対面はちょっと…」と感じている方には、こちらが先に参考になるかもしれません。
オンライン診療体験記を読む →薬以外の選択肢も知りたい方へ
薬を「持っているお守り」として置きながら、習慣の延長線上に置ける別の選択肢も探しました。実際に睡眠サポートサプリを1ヶ月試した記録を、別記事にまとめています。価格や解約条件、正直な実感も書いています。
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