眠れないまま朝を迎えた日曜の夜、スマホでオンライン診療を探し始めました。
午後10時に布団へ入り、一度も眠りに落ちないまま午前1時。頭の中では、月曜の段取りが繰り返し再生されていました。
「もう、自分一人ではどうにもならない」。
そう思ったのが、受診を決めたきっかけです。
予約から受診までは1日、初診でかかった費用は薬代を含めて3,470円でした。その夜から睡眠薬を受け取るまでを、順番に書きます。
この記事でわかること
なぜ、心療内科を避けたのか

業務量が増え、期末にむけ、明らかに眠れない日々が1カ月以上続きました。それでも心療内科に行かなかった理由は、「自分のキャリアが終わったと認めたくなかった」からです。
「精神科に通った記録が将来の何かに影響するのでは」という不安もありました。ただ、それは表向きの理由です。
「自分は普通に働けている。会議もこなせている。家族もいる。眠れていないだけで、それ以外は大丈夫」。そう思い続けることで、これまで通りの生活が続くと信じていたかったのだと思います。だから「もう少し頑張れば整う」「次の週末に寝れば戻る」と先延ばしにしてきました。
先延ばしの本質は、現実から目をそらすことでした。
頭では「このまま眠れないと取り返しがつかないかもしれない」と分かっていました。それでも、医療機関で「あなたには治療が要ります」と言われるのが怖かった。その一線を自分で踏むことが、敗北のように感じられたからです。
不眠が本格化した「ある期末」

短時間睡眠は20代の頃から続いていましたが、本格的な「不眠」と言える状態になったのは、ある年の期末からでした。
きっかけは業務量の大幅な増加です。担当する領域が広がり、抱える案件の数も急に増えました。「これは無理かもしれない」と思いながら、それでも目の前の仕事を片付けることでしか前に進めず、夜も頭が職場にあったまま布団に入る——という日が続きました。
最初に出てきた症状は、頭の左側の頭痛でした。寝不足が続くと、決まって左のこめかみの奥が重く痛む。それが一度始まると、その日一日、思考に膜がかかったような感覚が続きます。
仕事のパフォーマンスは、自分でも分かるくらいに落ちていました。
家族にも余裕がなくなりました。妻や子どもの何気ない言葉に強い口調で返してしまい、後から自分を責める。自分のことを、自分で好きになれない時期でした。
そしてある夜、布団の中で「このまま朝まで眠れなかったら、明日の自分はどうなるんだろう」という不安から、もう一段深いところに思考が降りた瞬間がありました。それ以上考えたくないところまで、思考が行き詰った夜でした。
それでも翌朝になれば、筆者は身支度をして、会社に行きました。誰にも何も言えませんでした。
オンライン診療を選んだ理由
そしてある日曜日。
一睡もできないと思った夜に、筆者が試みたのは「睡眠外来 病院」でのネット検索でした。
対面の心療内科に行く時間はなく、職場の近くで済ませれば同僚に見られるおそれがある。この2つで、通院という選択肢は消えていました。
検索の中で出てきたのが、不眠を扱うオンライン診療。筆者が選んだのは「患者目線のクリニック」という、保険が使えるオンラインの睡眠外来です。

スマホで予約して、自宅からビデオ通話で医師と話せて、薬は郵送でも届く(自分は薬局受け取りにしました)。家から出ずに済む、誰にも会わずに済む、保険証の事務処理を窓口でする必要がない——その3つが、筆者には魅力的に見えました。
最も大きな理由は、「オンラインなら、もし思っていたのと違っても、ビデオを切ればそれで終わりにできる」と感じたことです。
対面の予約をしてしまうと、当日キャンセルしづらくなる。オンラインなら、画面越しの十数分で完結する。逃げ道のある選択肢だったから、筆者はそこに踏み出せたのだと思います。
あなたの「眠れなさ」は、どのタイプ?
不眠は4タイプ(入眠困難・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害)に整理されることが多いとされています。まずは自分の傾向を把握するところから。
受診までの流れ
- 指定のスマホアプリをインストールし、会員登録
- 診療日時を予約
- 決済手段(クレジットカード等)と保険証(マイナンバーカードも可)を登録
- アプリで問診票に回答
- 予約時間になると、先方からビデオ通話がかかってくる

医師からは「最近の不眠の症状」と「眠れないこと以外に気になること」を聞かれました。
医師の対応は淡々としていました。でもその淡々さが、筆者には逆にありがたかったです。深刻ぶられるとそれ自体が重荷になる、というのが当時の感覚です。
通話の最後に、処方される薬の説明があり、7日分の処方薬を出してもらえることになりました。
診察後、処方薬の受け取り方法の案内があり、事前に登録した決済手段で決済がされました。
処方箋は、指定の薬局へFAXで送られました。
検索してから薬を受け取るまでに、実際にかかった時間と費用は次のとおりです。
| 項目 | 筆者の場合(患者目線のクリニック) |
|---|---|
| 予約まで | 眠れなかった日曜の深夜にスマホで予約 |
| 受診まで | 予約の翌日。月曜の夜に診察を受けた(待ち日数は1日) |
| 問診票 | 記入は約10分。不眠の状態・継続期間・困っている内容・他院への通院状況 |
| 診察前 | 予約時間の15分前にアプリのメッセージで通知 |
| 診察 | ビデオ通話で十数分。医師による状況の聞き取り→追加の質問→処方方針の説明 |
| 処方 | 睡眠薬7日分 |
| 支払い | 診察翌日、事前に登録した決済手段で自動的に決済 |
| 薬の受け取り | 医療機関が処方箋を指定の薬局へFAX。診察の2日後に受け取り(郵送も選べる)。薬局に着いた時点でFAXは届いており、待ち時間は10分ほど |
| 薬代 | 830円(7日分・薬局で支払い) |
| 初診の総額 | 3,470円(薬代を含む) |
費用の内訳は、初診料・処方箋送信料・オンライン診療のシステム利用料1,000円が医療機関への請求にまとまっていて、これとは別にシステム料50円がかかります。ここに薬局で払った薬代830円を足した合計が、3,470円です。
診察にかかる費用は受診した時点で確定します。薬代のほうは処方の内容で変わるので、筆者の830円は7日分の一例です。
処方された薬を受け取って感じたこと
診察の翌日、指定した薬局で睡眠薬を受け取りました。
封を開けて手に取ったとき、ホッとしました。「これで今夜どうしても駄目だったら頼れるものがある」という感覚が、その袋の中に確かにあったからです。

ただ同時に、「これに頼ってしまったら、もう自分の力で眠ることはできなくなるのではないか」という不安もありました。依存への恐れです。
処方は7日分でしたが、実際に飲んだのは数回だけです。処方された薬は「飲むためのもの」ではなく「持っているだけで夜が違って感じられるお守り」になっていきました。
布団に入る前、引き出しを開けて薬がそこにあることを目で確認するだけで、「今夜どうしても駄目だったら頼れるものがある」という安心感が生まれます。これだけで、布団の中の「眠らないと」というプレッシャーが、はっきりと弱まりました。
筆者はこれを、自分の中で「心の保険」と呼んでいます。保険は、使うために加入するのではなく、「使わずに済めばそれでいい」と思いながら持っているもの。筆者にとっての処方薬は、まさにそういう位置付けに落ち着いていきました。
飲まないなら処方してもらう必要はなかったのでは、とは思いませんでした。持っているだけで、布団の中の焦りが弱まる夜が増えたからです。
薬と並行して試した生活習慣
筆者は処方薬を「お守り」として持ちつつ、生活の側でできることを並行して試しています。
具体的には、
- 寝る前のスマホを早めに置く習慣
- 短い瞑想・呼吸法
- 食事と運動のリズムを整える
- 睡眠サポートサプリも試してみる
一つずつの効果は、はっきりとは分かりません。それでも「何かを試している自分」がいることが、夜の不安を弱めてくれました。

処方薬だけに頼らないと決めたのは、「薬を主軸にしてしまうと、薬がなくなった夜が怖くなる」という直感があったからです。あくまで主軸は生活の側に置いて、薬はその支えとして引き出しに入れておく——という配分が、今の筆者には合っています。
オンライン睡眠外来の2つのタイプ(2026年6月時点)

前半で書いたとおり、筆者が受診したのは「患者目線のクリニック」という保険適用型でした。いまは自由診療型という選択肢もあります。これから受診を考える方のために、2つの違いを整理しておきます。
保険適用型は、保険が使えるので1回あたりの自己負担が小さいです。筆者が実際に支払った内訳は、前半の表のとおりでした。受診にはマイナ保険証などの登録と、保険資格の確認が必要です。診療を受けられる時間は、土日も含めて9時から24時まで(受付は終了30分前まで)。費用を抑えたい人には、こちらが向いています。
もう一つが「デジタルクリニック」をはじめとした自由診療型です。保険を使わないぶん、費用は全額自己負担になります。同社の説明では、料金はプランによって異なり「1日あたり99円から」、診察は24時間365日、再診料は何回でも0円、薬は最短で当日発送、梱包は外から中身が分からないよう配慮される、とされています。保険証の手続きは不要です。
| 比べる点 | 保険適用型(患者目線のクリニック) | 自由診療型(デジタルクリニック) |
|---|---|---|
| 1回の費用 | 安い(3割負担) | 全額自己負担(1日99円〜とされる) |
| 受診の記録 | 健康保険組合に残る | 保険を使わず残らない |
| 保険証 | 登録・確認が必要 | 不要 |
| 診療時間 | 9〜24時(土日もふくむ) | 24時間365日 |
| 再診料 | 毎回かかる | 0円 |
| 薬の発送 | 薬局受取・配送 | 最短当日 |
お金以外に知っておくとよい違いが、受診の記録です。保険を使うと、記録は加入している健康保険組合に残ります。会社の上司や人事が直接見られるものではありませんが、記録そのものは残ります。自由診療なら記録は残りません。どちらが良いということではなく、気になるかどうかは人によります。
1回の費用だけを見るなら、保険適用型のほうが安く済みます。受診の記録を残したくない、保険証を使いたくない、深夜にすぐ相談したい——そういう場合は自由診療型、という選び方になります。
筆者が今の知識でもう一度選ぶとしたら、その日の状況で使い分けると思います。
まとめ:受診を迷っている人に伝えたいこと
ここまでは筆者の場合の記録です。同じやり方が誰にでも合うとは限りません。
ただ、当時の筆者のように「対面の心療内科には行きたくない、でも一人で抱えるのも限界」という状態にある方には、「オンライン診療という選択肢がある」ということ自体を、知っておいてほしいと感じています。
医療機関に行くか行かないか、薬を試すか試さないか——その判断は、それぞれの状況によります。
ただ、筆者が実感しているのは、「自分一人で抱える時間が長いほど、自分への蓄積ダメージは大きくなる」ということです。先送りの先に整理が来るとは限らない。むしろ、夜の暗さに慣れていく方向に、筆者は進んでしまっていました。
もし今、過去の筆者と同じ位置にいる方がいたら、「行く・行かない」の二択ではなく、「いつ・どこで・どういう形で誰かに話すか」を自分のペースで選んでいい——そう感じてもらえたら、この記事を書いた意味があると思います。

実際に処方された薬を飲んで、筆者の体と気持ちに何が起きたか——その記録は別記事にまとめています。「処方薬を飲むこと」への不安が大きい方は、こちらも併せて読んでもらえたらと思います。
薬以外の選択肢も知りたい方へ
処方薬を受け取った後も、毎日飲む気にはなれませんでした。そこで別の選択肢として睡眠サポートサプリを1ヶ月試した記録を、別記事にまとめています。価格や解約条件、正直な実感も書いています。
本記事は筆者が実際に受診したオンライン診療と、医師から処方された薬に関する個人の記録です。特定の医薬品を推奨するものではなく、効果効能を保証するものでもありません。医療機関の受診や服薬については、必ず医師の判断に従ってください。



